2026/08/19 未分類

リフローとフローの違いが求められる理由

1 はじめに

プリント基板製造において                                          「リフロー(リフローはんだ)」と                                          「フロー(フローはんだ)」は、実装方式を                                     語るうえで必ず登場する重要なキーワードです。                                  どちらも電子部品を基板に固定し、                                             電気的・機械的に接続するための                                         はんだ付け方法ですが、その工程・適用部品・                                   設計思想は大きく異なります。

実装方式の選定を誤ると、はんだ不良や部品破損、                                さらには量産後の市場トラブルにつながる                                     恐れがあります。                                                  本記事では、プリント基板製造のリフローと                                  フローの違いを詳しく解説します。

2 リフロー(リフローはんだ)とは何か

リフローはんだとは、はんだペーストを                                     印刷した基板上に部品を搭載し、                                         加熱炉(リフロー炉)で再溶融させることで                                      接合を行う実装方式です。                                            主に表面実装技術(SMT:Surface Mount Technology)                             で用いられ、現在の電子機器製造における                                     標準的な方法となっています。

2-1. リフローはんだの基本原理

リフローはんだでは、あらかじめ基板のランド上に                                はんだ粉末とフラックスを混合したはんだペーストを                               印刷します。                                                  その上にチップ部品やICを搭載し、                                      リフロー炉内で段階的に加熱します。

加熱により、

  • フラックスが活性化
  • はんだ粉末が溶融
  • 表面張力によって部品が自己整列

といった現象が起こり、ランドと部品端子が                                  安定して接合されます。                                            表面張力を利用した自己位置補正効果が、                                   リフローはんだの大きな特徴です。

(参考) https://ana-dig.com/board_mounting/#toc2

2-2. リフロー実装が主流となった理由

リフロー実装が主流となった背景には、                                  電子機器の進化があります。

  • 小型・軽量・高機能化への対応
    スマートフォンやウェアラブル機器など、                                  限られた基板面積に多くの部品を                                      実装する必要が生じた。
  • 高密度・微細ピッチ実装が可能
    QFP、BGA、CSPなどの                                            微細端子部品に対応できる。
  • 自動化による品質安定とコスト低減
    印刷・搭載・加熱がライン化され、                                     人手作業を大幅に削減できる。

これらの理由から、量産電子機器ではリフロー                                   はんだが標準技術として定着しました。

2-3. リフローはんだの主な適用部品

リフローはんだは、以下のような**表面実装部品                               (SMT部品)**に適用されます。

チップ抵抗・チップコンデンサ

IC(QFP、BGA、CSP、QFNなど)

小型コネクタ、モジュール部品


特に多ピン・微細ピッチ部品では、                                        リフローはんだ以外の方法は                                          現実的でないケースも多くあります。

3 リフローはんだの工程について

リフローはんだは、複数の精密工程によって品質が決まります。                         各工程の管理が、最終的な接合信頼性に直結します。


3-1. はんだペースト印刷工程

メタルマスクを用いて、基板ランド上に                                     はんだペーストを印刷します。                                       この工程では、

  • 印刷量
  • 印刷位置
  • ペースト形状

が重要で、過不足やズレはブリッジ・ボイド・                                  未接合の原因となります。                                              マスク開口設計と印刷条件の最適化が不可欠です。

3-2. 部品搭載工程(マウンタ)

高速・高精度のマウンタによって部品を搭載します。                                   搭載精度は後工程であるリフロー品質に                                     大きく影響しますが、多少の位置ズレは                                    リフロー時の表面張力で補正されます。

3-3. リフロー炉と温度プロファイル

リフロー炉では、

  • 予熱
  • 昇温
  • 溶融(ピーク)
  • 冷却

という温度プロファイルを制御します。                                        温度が低すぎると未溶融、高すぎると                                      部品劣化やはんだボイドが発生します。

特に鉛フリーはんだでは、                                           適正プロファイル管理が品質を左右します。

3-4. 冷却工程と接合品質

冷却工程では、はんだの結晶構造が形成されます。                                    冷却速度が速すぎるとクラック、遅すぎると                                   強度低下の原因となるため、                                          安定した冷却制御が求められます。

(参考) https://components.omron.com/jp-ja/fresh-on-the-board/202406-solutions

4 リフローはんだのメリット・デメリット


4-1. リフローはんだのメリット

リフローはんだのメリットは、単に「微細実装ができる」                                という点にとどまらず、設計・製造・品質の                                  各側面で総合的な優位性を持っています。

① 微細・高密度実装が可能

スルーホールを減らせるため、                                           基板面積を有効活用できる

チップ部品の小型化(0402、0201サイズなど)                                   に対応可能

QFP・QFN・BGA・CSPといった多ピン・                                    微細ピッチICを実装できる

② 表面張力による自己補正で高歩留まり

  • はんだ溶融時の表面張力により、                                        部品がランド中心に引き寄せられる
  • マウンタ搭載時の微小な位置ズレを                                      自動補正できる
  • 人的バラつきが少なく、                                           量産時の歩留まりが安定する

③ 自動化による品質安定と量産性

  • はんだ印刷・部品搭載・加熱が                                        完全ライン化できる
  • 作業者スキルに依存せず、                                        品質の再現性が高い
  • 大量生産時のコスト低減・                                          納期短縮に寄与

④ 設計自由度が高い(多層・高配線密度)

  • 表面実装中心のため、多層基板・                                    高配線密度設計に適している
  • 配線引き回しの自由度が高く、                                       高速信号・高周波設計にも対応しやすい
  • 小型・軽量製品の設計が可能となる

4-2. リフローはんだのデメリット

一方で、リフローはんだには明確な注意点もあり、                                 設計段階での理解不足が品質トラブルに                                    つながることがあります。

① 設備・立ち上げコストが高い

  • リフロー炉、印刷機、マウンタなど高額な設備投資が必要
  • 新製品立ち上げ時には、条件出し・プロファイル調整に工数がかかる
  • 少量多品種生産ではコストメリットが出にくい場合がある

② 温度ストレスによる部品劣化リスク

  • 鉛フリーはんだでは**高温プロファイル(230℃前後)**が必要                          熱に弱い部品では、
  • クラック
  • 内部接合劣化
  • 特性変化 が発生する可能性がある
  • 部品耐熱ランクの事前確認が不可欠

③ はんだペースト管理・保管が難しい

  • 冷蔵保管・使用期限管理が必要
  • 温度戻し不足や攪拌不良による印刷不良
  • 金属含有率や粘度変化が品質に直結する

④ BGAなどは外観検査が困難

  • 下面端子部品は、目視・外観検査では                                     良否判断ができない
  • X線検査や電気検査が前提となり、                                     検査コストが増加
  • ボイド・未接合が見逃される                                        リスクがある

4-3. リフローはんだを前提とした設計上の注意点

リフローはんだは高密度・高品質な                                         実装を可能にする一方で、設計段階での                                     配慮不足がそのまま量産不良に                                        つながりやすい方式でもあります。                                        ここでは、設計者が必ず意識すべき                                        ポイントを項目ごとに詳しく解説します。

① ランド寸法・ソルダーレジスト設計の最適化

ランド設計は、リフローはんだ品質を左右する最重要要素です。

部品メーカー推奨ランド寸法を基本とする

ランドが大きすぎるとはんだ量過多

ブリッジ・ボイド発生

小さすぎると濡れ不足

接合強度低下


また、ソルダーレジスト設計も重要です。

  • レジスト開口が狭すぎると濡れ不良
  • 広すぎるとブリッジやはんだ拡散の原因

ランド+レジストを一体で最適化することが、                                 安定した接合の前提条件となります。

② 熱容量差を考慮した部品配置(温度ムラ防止)

リフロー炉内では基板全体が                                         同じ温度プロファイルを通過しますが、

  • 大型部品
  • 放熱パッド付きIC
  • 多層基板エリア

などは、周囲と比べて温度上昇が遅れがちです。


その結果、

  • 一部のみ未溶融
  • 接合強度不足
  • ボイド増加

といった不良が発生します。

設計段階では、

  • 熱容量の大きい部品を集中させない
  • 温度影響を受けやすい部品                                           との距離を確保
  • 放熱パッドのビア設計を最適化

といった温度ムラを生まない                                          配置設計が重要です。

③ チップ立ち防止のための左右対称設計

チップ抵抗・チップコンデンサでは、                                     マンハッタン現象(チップ立ち)が                                     代表的な不良です。

主な原因は、

  • 左右ランドのはんだ量差
  • 温度上昇の時間差
  • ランド形状の非対称

これを防ぐためには、

  • 左右対称のランド形状
  • 均一なソルダーレジスト開口
  • 熱影響が左右で変わらない部品配置

が不可欠です。                                                             設計段階での対称性確保が、                                                 実装不良防止の近道となります。

④ BGA採用時の検査方法(X線)の事前検討

BGA・CSPなどの下面端子部品は、                                      外観検査では接合状態を確認できません。

そのため、

  • X線検査の実施可否
  • ボイド許容基準
  • 不良時のリワーク可否

を設計段階で決めておく                                           必要があります。

また、

  • パッド設計
  • ソルダーレジスト方式(NSMD/SMD)

も検査性・信頼性に大きく影響します。

⑤ フロー工程との混載時は工程分離を前提に設計

SMT部品とTHT部品が                                           混在する基板では、

  • SMT部品:リフローはんだ
  • THT部品:フローはんだ or 選択はんだ

と工程を分けるのが一般的です。

この場合、

  • リフロー後にフロー工程を通す際の耐熱性
  • 下面SMT部品へのはんだ再溶融リスク
  • マスキングや工程順の制約

を設計段階で考慮しなければなりません。

工程分離を前提にした部品配置・基板設計が、                                  量産トラブル回避につながります。

5 フロー(フローはんだ)とは何か


フローはんだとは、溶融したはんだを基板下面に                                  流し当てることで、部品リードとはんだ付けを                                  行う実装方式です。                                              主にスルーホール実装(THT:Through Hole Technology)                              で用いられ、長年にわたり電子機器製造を                                    支えてきました。

基板上に部品を挿入した後、基板を搬送しながら                                 溶けたはんだ槽の上を通過させることで、                                    穴を通したリードとランドを一括で                              はんだ付けします。                                              量産性が高く、接合強度にも優れることから、                                   現在でも特定用途で重要な役割を担っています。

(参考) https://ana-dig.com/board_mounting/#toc2

5-1. フローはんだの基本原理

フローはんだの工程は、                                           主に以下の流れで構成されます。

  1. フラックス塗布
     基板下面にフラックスを塗布し、                                     酸化膜の除去やはんだ濡れ性を向上させます。
  2. 予熱(プリヒート)
     基板全体を加熱し、急激な温度変化による                                   基板反りや部品ダメージを防止します。                                    同時にフラックスを活性化させる役割もあります。
  3. はんだ噴流(はんだ付け)
     溶融はんだ槽からポンプでくみ上げた                                  はんだを噴流させ、基板下面に接触させます。                                 これにより、スルーホール内に                                         毛細管現象で溶融はんだが吸い上げられ、                                  リードとランドが接合されます。
  4. 冷却
     はんだが凝固し、電気的・機械的に                                          安定した接合部が形成されます。

この方式の特徴は、一度の工程で多数のリードを                                 同時にはんだ付けできる点にあります。

スルーホール部品においては、接合強度が高く、                                 振動や衝撃にも強い接合が得られます。

5-2. フローはんだが使われてきた背景

フローはんだは、電子機器が大量生産され始めた                                時代から主流となった実装方式です。                                          その背景には、以下のような理由があります。

スルーホール部品が主流だった
 抵抗、コンデンサ、トランジスタ、コネクタなど、                               リードを穴に通す部品が長く標準であったため、                                  フローはんだとの相性が非常に良かった。

量産性と作業効率の高さ
 手はんだに比べ、均一品質で大量の基板を                                     短時間に処理できるため、家電・産業機器・                                    通信機器などの量産に適していました。

高い接合信頼性
 スルーホール内まで確実にはんだが                                        回り込むため、機械的強度が高く、                                         長期信頼性が求められる製品に向いていました。

一方で、電子機器の小型化・高密度化が進むにつれ、                                  表面実装部品(SMT)が主流となり、                                     現在ではリフローはんだが中心となっています。                                  それでも、フローはんだは特定用途では                                    今なお不可欠な技術として残っています。


5-3. フローはんだの主な適用部品

フローはんだが主に用いられる部品は、                                           以下のようなスルーホール部品です。

  • 抵抗・コンデンサ(リードタイプ)
     機械的保持力が必要な箇所や、                                          高電圧・大電流用途で使用されます。
  • コネクタ類
     挿抜力や外部応力が加わるため、                                     はんだ接合部に強度が求められる部品です。
  • 大型部品・重量部品
     トランス、リレー、電源部品など、                                               表面実装では固定が難しい部品に適しています。
  • 車載・産業機器向け部品
     振動・温度変化が厳しい環境下では、                                     スルーホール+フローはんだによる                                                                      高信頼接合が採用されることがあります。

近年では、SMT部品とTHT部品が                                       混在する基板も多く、

  • SMT部品:リフローはんだ
  • THT部品:フローはんだ(または選択はんだ)

といった実装方式の使い分けが                                          一般的になっています。

6 フローはんだの工程について

フローはんだは、複数の工程を連続的に行うことで、                               安定したはんだ接合を実現します。                                         各工程は独立しているようでいて相互に影響し合っており、                             どれか一つが不適切でも接合不良につながります。                                ここでは代表的な工程とその役割を解説します。



6-1. フラックス塗布工程の役割

フラックス塗布工程は、フローはんだにおいて                                 最も重要な前処理工程の一つです。                                       フラックスには以下の役割があります。

  • ランドや部品リード表面の酸化膜を除去する
  • はんだの濡れ性を向上させる
  • はんだ付け中の再酸化を防止する

塗布方式には、フォーム方式、スプレー方式、                                      ジェット方式などがあり、基板サイズや                                      部品密度によって使い分けられます。                                        フラックス量が多すぎると残渣による                                        絶縁不良や外観不良の原因となり、                                               少なすぎると濡れ不良や未接合が発生します。                                      そのため、適正量の管理が品質を大きく左右します。

6-2. 予熱工程と温度管理

予熱工程では、基板全体を徐々に加熱します。                                 この工程の目的は以下の通りです。

  • 急激な温度変化による基板反り・クラック防止
  • フラックスを活性化させ、効果を最大化
  • はんだ槽通過時の温度差を小さくする

一般的に基板表面温度は100〜130℃程度まで昇温させます。                              温度が低すぎるとフラックスが十分に活性化せず、                                 高すぎるとフラックス劣化や部品ダメージにつながります。

特に多層基板や熱容量の大きい部品が実装されている場合、                              基板表裏・部品ごとの温度差管理が重要になります。

6-3. はんだ槽通過による接合プロセス

予熱後、基板は溶融はんだ槽の上を通過します。                                       はんだはポンプによって噴流(ウェーブ)状に                                 持ち上げられ、基板下面に接触します。

このとき、スルーホール内部には毛細管現象によって溶融はんだが吸い上げられ、部品リードとランドの間に充填されます。適切な条件下では、

  • 十分なフィレット形成
  • ボイドの少ない接合
  • 均一なはんだ厚

が得られます。

一方で、条件が不適切な場合には、ブリッジ、                                      つらら(はんだ垂れ)、未充填などの不良が                                     発生するため、はんだ温度・搬送速度・                                     噴流形状の最適化が不可欠です。

6-4. 冷却工程と接合信頼性

はんだ付け後は、自然冷却または強制冷却に                                   よってはんだを凝固させます。                                          冷却工程では、

  • 結晶構造の安定化
  • クラック発生リスクの低減
  • 接合部の機械的強度確保

といった点が重要です。

急冷しすぎると内部応力が増大し、                                       逆に冷却が遅すぎると粗大結晶が形成され、                                     信頼性が低下する場合があります。                                       適切な冷却プロファイル管理が                                       長期信頼性に直結します。


7 フローはんだのメリット・デメリット


フローはんだは万能な方式ではありません。                                   特性を正しく理解した上で、                                          用途に応じた採用判断が重要です。


7-1. フローはんだのメリット

スルーホール部品の接合強度が高い
 リードが基板を貫通するため、振動・衝撃に強い接合が可能。

一括処理による高い量産性
 多数の部品を同時にはんだ付けでき、生産効率が高い。

長年の実績による安定した技術
 工程ノウハウが蓄積されており、品質管理が行いやすい。

7-2. フローはんだのデメリット

  • 高密度実装に不向き
     微細ピッチ部品や狭ピッチ基板ではブリッジが発生しやすい。
  • SMT部品との混載が難しい場合がある
     下面SMT部品があると、はんだ落下や再溶融のリスクが生じる。
  • 設計制約が多い
     部品配置やランド設計に配慮が必要。

7-3. フローはんだを前提とした設計上の注意点

フローはんだを採用する場合、                                          設計段階から以下の点を考慮する必要があります。

  • はんだ流れ方向を考慮した部品配置
  • ブリッジ防止のためのランド間隔・                                     スルーホール径設計
  • 不要なはんだ付着を防ぐ                                                ソルダーレジスト設計
  • SMT部品との混載時は選択はんだや                                     工程分離の検討

これらを事前に考慮することで、                                          量産時の不良発生を大幅に抑制できます。

8 フローとリフローの違いを比較

フローはんだとリフローはんだは、                                          同じ「はんだ付け」でありながら、                                            適した用途・設計思想・製造条件が                                           大きく異なります。                                                ここでは、方式選定で特に重要となる                                      観点ごとに違いを整理します。

8-1. 対応部品の違い

フローはんだ
スルーホール部品(THT)が中心。コネクタ、                                    トランス、リレーなど、機械的強度が求められる                                   部品に適する。

リフローはんだ
表面実装部品(SMT)が中心。                                            チップ部品、微細ピッチIC、BGAなど                                      高密度実装向け。

 部品形態そのものが方式選定を左右するため、                                   回路設計初期での部品選択が最重要となります。

8-2. 実装密度と微細対応力の違い

  • フローはんだ:
    • スルーホール占有により配線自由度が下がる
    • 微細ピッチには不向き
  • リフローはんだ:
    • 高密度・多層基板に対応
    • 0201サイズやBGAなど微細実装が可能

小型化・高機能化が求められる製品では、                                 リフローが前提条件となるケースが多い。

8-3. 品質安定性の違い

  • フローはんだ:
    • 条件依存性が高く、部品配置・はんだ流れ方向の影響を受けやすい
    • 接合強度は高いが、ブリッジ等のリスクあり
  • リフローはんだ:
    • 温度プロファイル管理により再現性が高い
    • 自動化によりロット間ばらつきが小さい

品質の再現性重視ならリフロー、                                          機械的強度重視ならフローという考え方が基本。

8-4. コスト構造の違い

  • フローはんだ:
    • 設備コストは比較的低い
    • 人手工程が残りやすく、                                         量産では人件費が影響
  • リフローはんだ:
    • 初期設備投資は高い
    • 量産時は自動化により                                       単価低減しやすい

 生産数量・製品ライフに応じた                                        トータルコスト評価が重要。


9 フローとリフローを併用する混載基板

9-1. 混載基板とは何か

混載基板とは、SMT部品とTHT部品が                                     同一基板上に実装された基板を指します。                                     現実の製品では、機能・強度・コストの                                     都合から混載構成が一般的です。

9-2. 実装順序の基本

一般的な実装順は以下の通りです。

  1. SMT部品をリフローはんだで実装
  2. THT部品を挿入
  3. フローはんだまたは選択はんだで接合

 逆順は、SMT部品の再溶融・脱落リスクが                                 高いため基本的に避けます。


9-3. 混載実装での注意点

  • 下面SMT部品の耐熱性確認
  • マスキング・工程分離の可否
  • 部品高さ・配置制約

 混載基板は設計と製造のすり合わせ不足が                                   不良につながりやすいため、早期相談が重要。

10 設計者・発注者が理解すべき実装方式選定のポイント

10-1. 設計初期段階での判断

  • 部品形態(SMT/THT)の選定
  • 将来の量産数量・拡張性
  • 製品寿命を見据えた方式決定

 回路設計完了後の方式変更は、                                        大きな手戻りコストを生む。

10-2. 基板仕様と製造制約

  • 層数・板厚・表面処理
  • 使用はんだ(鉛フリー等)
  • 設備対応可否

 「設計上できる」ことと「量産できる」                                     ことは別である点に注意。

10-3. 製造現場との連携

  • DFM(製造性設計)レビューの実施
  • 試作段階での条件フィードバック
  • 不良事例の設計反映

 製造を知る設計者、設計を理解する                                     製造が品質を支える。

11 まとめ

フローはんだとリフローはんだは、                                        優劣ではなく役割の異なる実装技術です。

  • 高密度・自動化・再現性を                                         重視するならリフロー
  • 機械的強度・特定用途にはフロー

そして多くの製品では、両者を適切に使い分け、                                  あるいは併用することが現実解となります。

実装方式は「製造工程の話」ではなく、                                         設計品質・コスト・納期を左右する                                        重要な設計要素です。                                                設計初期から製造現場と連携し、                                           最適な方式を選定することが、                                           トラブルのない量産と高品質製品への                                            近道となります。


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