2026/08/19 アートワーク設計

プリント配線板とは?種類、役割、製造工程まで徹底解説

プリント配線板は、現代の電子機器には欠かせない基板です。しかし、プリント配線板とはなにか、どのような役割を果たすのかわからない方が多いのではないでしょうか。この記事では、プリント配線板の歴史を紐解きながら、その概要や作り方などをわかりやすく解説します。

プリント配線板とは

プリント配線板(英語:Printed Wiring Board)とは、絶縁基板上に導電性の配線パターンを形成し、電子部品を接続するための基板です。部品を実装する前の状態を指すため、実装後の基板と区別するために“生板”と呼ばれることもあります。ここでは、プリント配線板の概要を見てみましょう。

リジッド基板、フレキシブル基板、リジッドフレキシブル基板の構造比較

<プリント配線板の概要>

  • プリント配線板とプリント基板の違い
  • プリント配線板の役割

プリント配線板とプリント基板の違い

プリント配線板とよく似た言葉に「プリント基板」があります。プリント基板とは、プリント配線板やプリント回路板を包括的に表す言葉です。プリント配線板とは異なり、日本産業規格(JIS規格)にはプリント基板という言葉がありません。そのため、プリント基板という言葉が持つ意味は、使う人によって異なります。

なお、プリント配線板と関連深い部品に「半導体」がありますが、これは通電性が高い導体と、通電性がない絶縁体の中間的な性質を持つ物質です。演算、記録、センサーといった複数の役割を1つのチップで実現できることが特徴で、電子回路を動作させるために必要なプリント配線板とは役割が異なります。

プリント配線板の役割

プリント配線板は、電子部品を電気的に接続することに加えて、各電子部品を固定する役割を担います。プリント配線板が誕生したのは1943年のことで、それまでは電子部品を手作業で取り付けていました。そのため、多くの手間と時間を要するだけでなく、作業ミスを誘発する原因にもなります。

プリント配線板が発明されたことにより、電子部品を簡単に接続できるようになり、作業ミスも激減し、高品質な製品を効率的に製造できるようになりました。また、電子部品をまとめて設置できるようになり、製品の小型化・高性能化を実現できるようになったことも、プリント配線板の登場により得られたメリットです。

プリント配線板の種類とその特徴

プリント配線板の種類は、大きく次の3つです。ここでは、それぞれの特徴をご紹介します。

<プリント配線板の種類とその特徴>

  • リジッドプリント配線板
  • フレキシブルプリント配線板
  • リジッドフレキシブル基板

リジッドプリント配線板

リジッドプリント配線板は、硬い基材を使用した基板で、形状が固定されていることが特徴です。家電製品やパソコンなど、構造的に安定性が求められる機器に適しています。単層、両面、多層の構造があり、複雑な回路に対応するため、多層基板がよく使用されます。

フレキシブルプリント配線板

フレキシブルプリント配線板は、ポリイミドなどの柔軟な基材を使用する基板で、曲げたり畳んだりできることが特徴です。ウェアラブルデバイスやカメラモジュールなど、スペースが限られた場所や可動部での使用に適しています。軽量で薄い設計が可能ですが、製造コストがかさみやすい点はデメリットです。

リジッドフレキシブル基板

リジッドフレキシブル基板は、リジッドとフレキシブルの特性を組み合わせた基板です。硬い部分で部品を固定し、柔軟な部分で接続や可動性を確保します。医療機器や航空宇宙分野で使用されることが多く、複雑な形状や高密度な回路に対応できます。設計と製造が複雑になりやすく、コストが高い点は課題と言えるでしょう。

プリント配線板の製造工程

プリント配線板の製造工程は、大きく4つのステップに分かれます。ここでは、各工程の特徴を見てみましょう。

<プリント配線板の製造工程>

  • 設計とプロトタイプ作成
  • 基板の素材選定と製造
  • 穴あけと導電性パターンの作成
  • 部品の実装と検査

設計とプロトタイプ作成

最初のステップは、回路図を基にしたプリント配線板の設計です。Altium DesignerやKiCadなどのツールを活用し、部品配置や配線パターンを決定します。その後は設計ルールチェックで仕様に適合しているか確認し、プロトタイプ基板を作成して、動作確認・シミュレーションを実施します。

基板の素材選定と製造

基板の素材は用途に応じて選定します。FR-4など、耐熱性やコストのバランスが優れた素材を採用するケースが多いです。製造段階では、基板素材に銅箔を貼り付け、設計データに基づいて配線パターンを準備します。

穴あけと導電性パターンの作成

精密なドリルを活用して、基板にビアやスルーホールを形成するための穴あけを行います。このフェーズで重要なのは、配線の精度を確保することや、インピーダンス制御(交流信号に対する抵抗成分の管理)です。導電性パターンは、フォトリソグラフィやエッチング技術を用いて行います。

部品の実装と検査

部品実装では、表面実装技術やスルーホール技術を用いて電子部品を基板に取り付けます。実装後はインサーキットテストや機能テストを行い、配線や電子部品の接続不良を確認するほか、X線検査などでも品質確認を進め、問題がなければ製造完了です。

プリント配線板が使用されている業界・応用例

プリント配線板は、以下のように多くの業界で使用されています。具体例を見てみましょう。

<プリント配線板が使用されている業界・応用例>

  • 家電製品
  • 自動車産業
  • 通信機器と情報技術
  • 医療機器

家電製品

テレビやエアコン、冷蔵庫など、私たちにとって身近な家電製品の多くにプリント配線板が使用されています。これらの製品にプリント配線板を使用する目的は、マイクロコントローラやセンサーを接続することにより、機器の機能や省エネ機能を搭載するためです。

自動車産業

自動車産業では、エンジン制御ユニットやADAS(先進運転支援システム)にプリント配線板が使用されています。また、電気自動車のバッテリー管理システムにも、プリント配線板が不可欠です。

通信機器と情報技術

スマートフォンやルーターといった通信機器には、高周波対応のプリント配線板が使用されています。インピーダンス制御やノイズ対策が施された多層基板のプリント配線板は、5G通信などの高速データ伝送に欠かせません。

医療機器

MRIや心電図などの医療機器にもプリント配線板が使用されています。特に多く用いられるのはフレキシブル基板やリジッドフレキシブル基板で、患者の快適性や装置のコンパクトさを確保するために不可欠です。

まとめ

プリント配線板とは、電子機器の心臓部として、電子部品の接続や信号伝達を支えるために重要な役割を果たす存在です。大きく3つの種類に分類でき、設計から製造、実装まで細かな工程を経て製造されます。プリント配線板が使用されている業界は、家電製品・自動車産業・情報技術・医療分野とさまざまです。