基板設計の基本ルールとは?成功するための最適化のポイント
電子機器の性能や信頼性を左右する基板設計は、回路図の論理的な設計を物理的な形に変換する重要な工程です。しかし基板設計には複雑な要素が絡むため、何をどこから決めれば良いのか悩んでいる方も多いでしょう。この記事では、基板設計を成功させるための基本ルールや最適化のポイントを、わかりやすく解説します。
基板設計の準備と最初に決めるべきルール
基板設計の品質は、設計を開始する前の準備段階で決まると言っても過言ではありません。最初に決めるべきルールは次の2点です。それぞれのポイントを見てみましょう。

<基板設計の準備と最初に決めるべきルール>
- 設計基準の設定
- 設計ツールの選定とセットアップ
設計基準の設定
基板設計の第一歩となるのが、設計基準(デザインルール)の設定です。設定した基準に違反していないかは、DRC(Design Rule Check)で確認します。メーカーの仕様に基づく最小線幅やクリアランス、ビアのサイズなどを設定します。
一般的な基板の場合、線幅は0.1mm、クリアランスは0.15mmが標準的ですが、高精度な基板の場合はさらに厳しい基準が求められます。また、アナログ・デジタル・高周波など、回路の種類に応じて最適な設計基準を設定することにより、製造可能性と性能の両方を高めることが可能です。
設計ツールの選定とセットアップ
効率的な基板設計に欠かせないのが設計ツールです。Altium Designer、KiCad、EAGLEといった設計ツールの活用により、電子部品の設置や配線を効率化できます。
設計ツールにはDRCチェックなどの解析機能が搭載されていることが多く、設計ミスが発生したとしても、素早く発見して修正できます。設計ツールのセットアップでは、部品ライブラリやフットプリントの登録が可能です。プロジェクトの規模や予算、製品の内容に応じて、適切な設計ツールを選択しましょう。
基板設計の基本ルール①コンポーネント配置とレイアウト
コンポーネント配置は、基板設計の基礎となるステップです。以下の要素を活かした適切な配置により、配線の効率化や信号品質の向上を図りましょう。
<コンポーネント配置とレイアウトの要素>
- コンポーネント配置のポイント
- 機能別でグループ化をする
コンポーネント配置のポイント
コンポーネント(部品)配置の目的は、簡単に配線できる基板設計を行うことです。デザインルールに準拠して必須となるコンポーネントを配置する必要がありますが、同時にできるだけ少ないレイヤー間トランジションを使用して、効率化・低コスト化を図らなければなりません。この2つを両立させられるよう、戦略的な検討を重ねた上で、コンポーネント配置を行うことがポイントです。
機能別でグループ化をする
回路はデジタル回路、アナログ回路、電源回路、高周波回路など、機能や特性に応じて分けられます。これらを基板上でグループ化し、離して配置することも基本ルールの一つです。
特にノイズの発生源となりやすいデジタル回路やスイッチング電源と、ノイズの影響を受けやすいアナログ回路やセンシング回路は、それぞれの干渉を抑えるために分離する必要があります。これは、後述するグラウンド設計においても重要な意味を持つものです。
基板設計の基本ルール②配線設計とトレース
配線設計はアートワークとも呼ばれる工程です。ここでは、電流と信号の通り道であるトレースの幅や長さを決定し、基板の性能を物理的に具現化していきます。ここでの工程を、3つのポイントに分けてご紹介します。
<配線設計とトレースのポイント>
- トレース幅の計算と信号品質確保
- 熱設計と熱伝導性の最適化
- トレースの最適化
トレース幅の計算と信号品質確保
トレース幅の計算は、電流容量や信号の種類に応じて計算します。例えば電源ラインの場合、電流に応じた十分な幅が求められ、1Aと仮定すると0.6mm以上が必要です。
一方、高速信号ではインピーダンス調整が必要となり、50Ωや100Ωのインピーダンスを維持するためにトレース幅や間隔を調整します。この場合、差動ペアの配線長を揃えたり、クロストークを防ぐためにトレース間隔を十分に取ったりして調整することが一般的です。
熱設計と熱伝導性の最適化
特に高出力部品や電源ラインで問題となるのが発熱です。トレース幅を広くして抵抗を減らすことにより、発熱を抑制できます。また、プリント基板に開ける穴の一種であるサーマルビアや、熱交換器の一種であるヒートシンクを活用して、熱を基板全体に分散させる設計も有効です。
トレースの最適化
トレースの最適化では、配線の長さや角度を工夫します。信号の反射やノイズの原因となる“直角配線”を避け、曲線的な角度で配線する対策が効果的です。自動配線ツールを使用する場合も、高速信号やアナログ信号といった重要な信号は手動で配線することが、不具合を防ぐために有効です。また、トレースの配置では、信号の流れを意識して、リターン経路を短く保つことも重要と言えます。
基板設計の基本ルール③グラウンドと電源設計
グラウンド(GND)と電源設計は、基板の安定性とノイズ耐性に影響を与えるものです。グラウンドプレーンを専用の層として確保することにより、リターン電流の経路を安定させ、電磁干渉を低減できます。
2層ボードの場合、1つのレイヤに大きなグラウンドプレーンを配置した上で、信号と電源トレースをもう1つのレイヤに配線します。電源に直接接続する必要があるコンポーネントの場合、電源プレーンを使用しない場合は、各電源に共通のレールを使用することが重要です。
基板設計の基本ルール④ノイズ対策と干渉防止
ノイズ対策は、基板設計を成功させるために欠かせません。クロストークや電磁干渉を防ぐために、信号線と電源線を分離して、シールドやフェライトビーズを活用します。高速通信では、差動ペアの配線長を揃え、隣接するトレースとの間隔を開けて対処することが有効です。
また、干渉防止においては、アナログ回路とデジタル回路を分離して、グランドプレーンを適切に分割する対策が有効です。これらの対策の有用性を確認するために、シミュレーションによりノイズのレベルを事前に評価することが推奨されています。
基板設計の基本ルール⑤製造と実装に向けた調整
製造と設計の効率を高めるために重要なのは、設計段階でメーカーの仕様を考慮することです。部品設計では自動実装機の制約を満たすこと、テストポイントを配置して機能テストを容易にすることなどが求められます。また、基板の層数や材料の最適化により、製造コストを抑えつつ性能を維持できます。
まとめ
基板設計を成功させるためには、明確な設計基準の設定や適切なツールの活用、コンポーネント配置の最適化、ノイズ対策などが必要です。これらの基本ルールを遵守することにより、信号品質の向上や発熱の管理、製造効率の最適化を実現できます。回路の種類や製造要件に応じて柔軟に対応し、シミュレーションや検証を重ねながら、設計の信頼性を高めることが設計者に求められています。