ノイズ対策とは?基礎知識から実践方法まで徹底解説
電子機器の進化に伴い、ノイズ問題が深刻化しています。ノイズが原因で誤作動やデータ破損が発生するリスクがあるため、現代の電子機器を製造する際は、的確なノイズ対策が欠かせません。この記事では、ノイズが引き起こすトラブル例やノイズの種類を解説した上で、ノイズ対策の考え方や具体的な手法例をご紹介します。

ノイズ対策とは
ノイズ対策とは、電子機器における不要な電磁波や信号の干渉を抑制・除去する取り組みです。まずはノイズ対策の概要や、ノイズが引き起こすトラブル例などをご紹介し、ノイズ対策の重要性をお伝えします。
ノイズの定義と電子機器への影響
ノイズの定義は次のとおりです。
<ノイズの定義>
- 必要とする信号や電力に混入して、妨害を与える不要な電気的成分
簡単に言えば、電子回路に侵入して機器の不具合を引き起こす電気や電磁波をノイズと呼びます。何らかの原因によりノイズが発生すると、信号の品質が低下し、意図しないタイミングで機器が誤動作を起こす可能性があります。これにより、電子機器の不具合を招くリスクがあるため、ノイズ対策が必須です。
ノイズが引き起こすトラブル例
ノイズが引き起こすトラブルは、次のようにさまざまです。
<ノイズが引き起こすトラブル例>
- ロボットや装置の誤作動
- 電源ユニットの故障
- 漏電ブレーカの誤動作
- 測定データや計測データの誤表示
- 音響機器における雑音の混入
- 正常な製品にも関わらず不良品と誤判定する
上記はあくまでも一例であり、その他の重大なトラブルが発生する可能性もあります。
ノイズ対策の重要性
ノイズ対策は、電子機器の誤作動や、それに伴う故障を防ぐために極めて重要です。ノイズが原因でデータ処理のエラーが多発すると、製品だけでなく、企業全体の信用が損なわれます。特に自動車のように人命に影響を与える製品では、ノイズによる重大な事故が企業にとって致命的な損失となります。そのため、ノイズ対策は多くの企業にとって不可欠です。
ノイズの種類と分類
ノイズの種類は多岐にわたり、周波数・波形・伝播経路と3つのポイントで分類されています。ここでは、ノイズの種類ごとに見た特徴を解説しましょう。
<ノイズの種類と分類>
- 周波数による分類
- 波形の特徴による分類
- 伝播経路による分類
周波数による分類
周波数では、低周波ノイズと高周波ノイズの2つに分類できます。
【周波数による分類】
低周波ノイズは、電力線やモーターなどから発生する交流磁界や、部品の振動、あるいは電気そのものを発生源とするノイズです。一方の高周波ノイズは、AC/DCコンバータなどの動作時に発生する「スイッチングノイズ」や、電磁弁などの動作により急激な電流の変化が生じて発生する「開閉サージ」などの種類があります。
波形の特徴による分類
波形では、サージなどの瞬間的な一過性ノイズと、ホワイトノイズやピンクノイズといった持続的な連続性ノイズに分類できます。
一過性ノイズは、雷やスイッチングにより発生することが多く、絶縁破壊を招く恐れがあるため注意しなければなりません。一方の連続性ノイズは、機器の動作中に連続して発生するノイズを指します。例えばインバータやスイッチング電源の動作中は、ノイズが継続して発生します。
伝播経路による分類
伝播経路は、配線経由の伝導ノイズと、空間経由の放射ノイズの2種類です。伝導ノイズは、ノイズが伝わる方向に応じて、さらに2種類に分類できます。
【伝導ノイズの種類】
2つの伝導ノイズは同時に発生する可能性があるため、それぞれにノイズ対策が必要です。
一方の放射ノイズは、電子機器の内部から空間に向けて放出された電波がノイズ化したものです。放射ノイズは輻射ノイズとも呼ばれ、周辺にある電子機器を妨害する恐れがあります。
ノイズ対策の考え方と流れ
ノイズ対策の基本は次の3つです。それぞれの考え方と、ノイズ対策の流れを解説します。
<ノイズ対策の考え方と流れ>
- 発生源を抑える
- 伝達経路を遮断する
- 受け手側の耐性を高める
発生源を抑える
電子機器から発生するノイズを抑える対策をEMI(Electro Magnetic Interference)対策と言います。有効な対策として挙げられるのは、部品選定において低EMIチップを活用し、回路レイアウトを最適化することです。ループ面積を最小化することにより、ノイズの発生源を抑えやすくなります。
伝達経路を遮断する
シールドやグランドを用いて伝達経路を遮断するノイズ対策です。シールドは電磁波を反射・吸収し、グランドは低インピーダンスでノイズを逃す効果があります。これにより、主にコモンモードノイズを効果的にブロックすることが可能です。
受け手側の耐性を高める
受け手側の耐性を高めるノイズ対策となるのがEMS(Electro Magnetic Susceptibility)対策です。フィルタを用いてノイズを除去し、回路の耐圧を強化します。また、グランド分離やアイソレータで耐性を高めることにより、誤動作を防ぎます。
ノイズ対策の具体的な手法例
ノイズ対策の具体的な手法を、さらに詳しく解説します。それぞれのポイントを見てみましょう。
<ノイズ対策の具体的な手法例>
- 設計段階での工夫
- アイソレーション技術
- シールド材や筐体による保護
- フィルタ部品の活用
設計段階での工夫
設計段階では、レイアウトの最適化によりノイズを最小限に抑えられます。電源線と信号線を分離し、グランドをスター型に配置したり、バイパスコンデンサを近接配置したりすることにより、効率的なノイズ対策が可能です。
アイソレーション技術
アイソレーション技術でノイズを分離することも可能です。光アイソレータやトランスで電気的接続を絶つことにより、コモンモードノイズを遮断できます。デジタルアイソレータで高速信号に対応し、配線がループ状になるグランドループを防ぎます。
シールド材や筐体による保護
導電性シールド材などを利用して筐体を覆い、放射ノイズを遮蔽するノイズ対策です。飛来ノイズの除去には、信号線を金属のシールドで覆った「シールドケーブル」を用いたノイズ対策が有効と言えます。
フィルタ部品の活用
EMIフィルタやローパスフィルタを用いて高周波ノイズを除去するノイズ対策です。フィルタ部品は、特定の周波数の信号を通過したり、阻止したりする役割を担います。コンデンサ、インダクタ、フェライトビーズ、LCフィルタなどが主なフィルタ部品です。
まとめ
ノイズは電子機器にあらゆる悪影響を及ぼすため、ノイズを除去して製品の品質を高めるノイズ対策が必須です。ノイズ対策は「発生源を抑える」「伝達経路を遮断する」「受け手側の耐性を高める」の3つが基本的な考え方になります。設計段階での工夫や、シールド材やフィルタ部品を活用した保護により、効果的なノイズ対策が可能です。