はんだ付け不良とは?主な種類や原因、対策方法を解説
プリント基板と電子部品の接合が正常に行われていない状態が「はんだ付け不良」です。はんだ付け不良があるプリント基板は、さまざまな不具合を引き起こす可能性があります。この記事では、はんだ付け不良の主な種類や発生方法、有効な対処法、そして検査方法などを、詳しく解説します。
はんだ付け不良とは
はんだ付け不良とは、プリント基板と電子部品のはんだ接合が正常にできていない状態です。はんだ接合部に十分な接合強度や電気的導通が得られていない状態を指します。
はんだ付け不良が発生すると、基板実装の品質や製品寿命に影響する可能性が高いです。自動車や医療機器をはじめ、信頼性が重視される電子機器では、はんだ付け不良が製品の安全性や品質に大きな影響を及ぼすおそれがあります。SMT工程では微小な部品を扱う場合が多く、はんだの量や加熱条件のわずかなズレが不良につながります。
はんだ付け不良の主な種類
一言ではんだ付け不良と言っても、その種類はさまざまです。ここでは、代表的なはんだ付け不良の種類を5つピックアップして、それぞれの特徴や問題点をご紹介します。

ぬれ不良・イモはんだ
ぬれ不良は、溶けたはんだが部品の電極や基板のパッドに十分になじまず、適切な接合が形成されない状態を指します。はんだが丸く固まったり、部分的にしか結合されなかったりといった症状が現れます。イモはんだは、はんだが一箇所に集まって塊になり、平らに広がらない不良です。
ぬれ不良・イモはんだが発生すると、接合強度が大幅に低下し、振動や熱ストレスが原因ではがれやすくなります。主な発生要因としては、フラックスの働きが十分でないことや、部品・基板表面の酸化、リフロー時の加熱不足などが挙げられます。
はんだブリッジ・ショート
隣接するパッドや端子間に、はんだが橋のように広がった状態が「はんだブリッジ」です。特に微細なピッチの部品や高密度実装で発生しやすく、ショートを招きます。
はんだブリッジが発生すると、回路が意図しない動作をしたり、部品が破損したりする原因になります。はんだブリッジは、はんだ量が過剰だった場合や、メタルマスクの開口設計に不備があった場合などに発生しやすいです。
はんだボール・ボイド
はんだボールは、リフロー時にはんだの一部が飛散し、微小な球状となって基板表面に残る現象です。はんだボールが他の端子に接触すると、ショートを引き起こす場合があります。
ボイドは、はんだの内部に気泡が発生した状態です。ボイドは、接合強度や熱伝導性を低下させる原因となります。
はんだ不足・ツララ
はんだ不足とは、接合部に十分な量のはんだが供給されず、部品と基板がしっかりと接続されていない状態です。ツララは、はんだが糸を引いたように細く突き出た不良であり、ショートの原因になります。
はんだ不足は、印刷量の不足や部品の浮き、加熱不足などが原因で発生します。ツララは、はんだの粘度や冷却速度が適切でない場合に発生しやすいです。
チップ立ち・部品ズレ
チップ立ちとは、抵抗やコンデンサに代表されるチップ部品が、片側だけ浮き上がっている状態です。部品ズレは、接合したい位置からずれて部品が搭載されている状態を指します。
チップ立ちは、左右のパッド上のはんだが溶けるタイミングのズレによって、はんだの表面張力のバランスが崩れて発生します。部品ズレの主な原因は、製造工程で用いるマウンターの精度不足や、はんだ印刷の位置ズレが原因で発生する場合が多いです。
はんだ付け不良が発生する原因と対策
はんだ付け不良を防ぐためには、不良が発生する原因を正しく理解して、適切な対策を講じることが大切です。ここでは、はんだ付け不良が発生する主な原因と、有効な対策をご紹介します。
加熱不足・加熱しすぎを防ぐ
加熱が不十分だと、はんだが十分に解けず、ぬれ不良などのトラブルを引き起こします。一方、加熱のしすぎも問題です。部品の熱ダメージやはんだの酸化を招き、ボイドなどの不良の原因になります。
有効な対策は、リフロー炉の温度プロファイルを最適化することです。部品や基板の仕様に合わせて、余熱やピーク温度、冷却時間を適切に設定しましょう。
はんだ量やフラックスを適切に管理する
はんだ量が多すぎると、ブリッジやはんだボールが発生しやすく、反対に少なすぎると、はんだ不足やぬれ不良の原因になります。フラックスは、酸化膜を除去して、はんだのぬれ性を向上させる役割を果たすものです。しかし、量や活性度が不適切な場合は、はんだ付け不良を招くため注意しましょう。
対策としては、メタルマスク設計の見直しなどを行い、はんだ印刷量を最適化することを挙げられます。フラックスの適切な選定と管理を徹底することや、印刷後の検査を徹底することも、対策として有効です。
部品・基板の汚れや酸化を防ぐ
部品や基板が汚れていたり、酸化していたりすると、はんだのぬれ性が低下して、ぬれ不良や接合不良を招くため注意しましょう。特に長期間保管した部品は酸化が進みやすく、注意が必要です。
対策として、部品と基板を適切に保管しましょう。温度や湿度に注意を払うことが特に重要です。必要に応じて基板や部品表面の洗浄や酸化膜の除去を行うことも有効です。
温度プロファイルや作業条件を見直す
リフローにおける温度プロファイルが不適切だと、はんだ付け不良が発生するリスクが高まります。製品ごとに最適な温度プロファイルを作成し、精度を定期的に検証しながら対策しましょう。印刷機やマウンターの設定値を確認したり、作業標準を徹底したりといった対策も効果的です。
はんだ付け不良を見つける検査方法
はんだ付け不良を見逃さないために、作業工程ではさまざまな方法で検査を実施しています。ここでは、はんだ付け不良を見つける検査方法を3つ見てみましょう。
外観検査・画像検査
もっとも基本的な検査方法です。目視や拡大鏡を使って、はんだの形状やブリッジの有無、部品の位置ズレなどを確認します。AOI(自動光学検査装置)による画像検査を行うケースが多く、高速かつ高精度ではんだ付け不良を検出できます。
電気検査・導通検査
電気的接続や、部品間・端子間の導通を確認する方法が、電気検査・導通検査です。電気的な検査を行うことにより、外観検査では発見しにくい、内部的なはんだ付け不良を発見できます。ただし、すべての不良を発見できるわけではないため、外観検査と併用することが一般的です。
X線検査などの非破壊検査
はんだ接合部を目視できない場合は、X線などを使用した検査も行います。はんだのボイドやブリッジ、部品の位置ズレなどを非破壊で確認できることがメリットです。ただし、その他の方法と比べて長い検査時間を要するため、主にサンプリング検査の際に用いられます。
まとめ
はんだ付け不良には、ぬれ不良、ブリッジ、ボイド、はんだ不足、チップ立ちなどさまざまな種類があります。不良を発見するために、外観検査や電気検査、X線検査などを複合的に行うことが一般的です。はんだ付け不良を防ぐことで、製品の信頼性が向上するだけでなく、リワークや不良品の発生を抑えられるため、製造コストの削減にもつながります。