表面実装とは?メリットや挿入実装との違いをわかりやすく解説
パソコンやスマートフォンなど、私たちの身の回りにある電子機器は、年々小型化・高性能化が進んでいます。その真価を支えているのが「表面実装」というプリント基板の製造技術です。この記事では、表面実装とは何かご紹介したうえで、表面実装のメリットや、挿入実装との違いなどを解説します。
表面実装とは
表面実装とは、プリント基板の表面に電子部品を実装する技術です。配線パターンの上に電子部品を配置して、はんだ付けして固定します。表面実装は、現代のスマートフォンやパソコンに代表される、あらゆる電子機器の小型化・高性能化を支える製造技術です。

SMT・SMDの意味と関係
表面実装を理解するうえで重要になるのが「SMT」と「SMD」です。それぞれの概要をまとめます。
<SMTとSMDの意味>
- SMT(Surface Mount Technology)…表面実装技術
- SMD(Surface Mount Device)…表面実装部品
SMTは、基板表面に部品を搭載したり、はんだ付けしたりする一連の工程や技術全体を指します。一方のSMDは、実際に表面実装される電子部品そのものです。つまり、SMTという技術を活用して、SMDを基板に実装するという関係性が成立します。
表面実装と挿入実装の違い
プリント基板の実装方法は、大きく表面実装と挿入実装の2種類です。どちらも電子部品を基板に固定する技術ですが、その特徴は大きく異なるため、それぞれの違いを確認しておきましょう。
実装方法の違い
表面実装は、基板表面にクリームはんだを印刷し、その上に部品を置いて加熱・接合します。部品のリードを基板の穴に通す必要がないため、工程がシンプルで、自動化しやすいことが特徴です。そのため、表面実装は高速・大量生産に適しています。
一方の挿入実装は、あらかじめ基板にスルーホールを開けておき、スルーホールに部品のリード端子を挿入し、フローはんだ付けや手はんだ付けなどで固定する方法です。表面実装と比べて、より強固な接合が可能であり、応力のかかる部品でもしっかりと接合できます。
使用する部品形状の違い
表面実装で使われる部品は、リードが短いものが多く、チップ状や小型パッケージのものが中心です。抵抗、コンデンサ、ICなどが小型化され、限られた基板のスペースを節約できます。
一方、挿入実装で使われる部品にはリードがあり、これをスルーホールに通します。抜き差しの負荷がかかるコネクタやスイッチ、大型コンデンサなどに多く見られることが特徴です。
小型化・高密度実装への対応の違い
表面実装の強みは、小型化・高密度実装の対応力です。部品が基板表面に直接搭載されるため、基板の穴を減らし、部品同士の間隔を狭められます。同じ機能の回路をより小さな基板に収められるため、スマートフォンのように薄型・軽量が求められる製品では、表面実装が採用されるケースが多いです。
一方の挿入実装は、部品のリードを通す穴が必須であり、実装密度は低くなりがちです。部品同士の間隔も広く取る必要があり、必然的に基板サイズも大きくなります。ただし、強度の高さは魅力的であり、自動車の制御基板のように、耐久性が求められる分野で採用されるケースが多いです。
表面実装のメリット
表面実装は、現代の電子機器製造において主流の技術です。ここでは、なぜ表面実装が用いられるケースが増えているのか、表面実装のメリットを3つピックアップして解説します。
基板の小型化・高密度化に対応しやすい
表面実装は、部品を基板の表面に直接搭載します。従来の挿入実装とは違い、基板に部品挿入用のスルーホールを開ける必要がありません。これにより、基板の有効面積を最大限に活用でき、必要となる部品をより小さな基板に収められることがメリットです。
また、部品同士の間隔を狭くできるため、高密度化にも柔軟に対応できます。これが、スマートフォンやウェアラブル機器のように、小型・軽量が求められる製品に採用される理由です。
自動化により量産性を高めやすい
表面実装は自動化がしやすく、量産性を高めやすいことも魅力的です。クリームはんだ印刷機や部品搭載機、リフロー炉を組み合わせたラインを利用して、大量生産を行えます。高速マウンターを利用した場合、1時間あたりに数万個以上の部品を正確に搭載できるため、生産速度の向上を実現できるでしょう。
製造コストの削減につながる
先述したように、生産効率の向上を実現できることが、表面実装のメリットです。基板の小型化による材料費の削減や、自動化による人件費の削減により、製造コストを削減できるでしょう。また、部品実装用のスルーホールを設ける必要が少ないため、基板製造工程を簡素化しやすく、これも製造コストの削減につながります。
表面実装を行う際の注意点
表面実装には多くのメリットがありますが、製造工程の管理を怠ると、不良品が発生しやすいなどの注意点があります。特に量産時には、細かな製造管理が製品の品質を左右するため、慎重に取り組まなければなりません。ここでは、表面実装を行う際の注意点を、3つのポイントに分けて解説します。
はんだ量や印刷精度の管理が重要
表面実装では、クリームはんだの印刷量と印刷精度が、製品の品質を大きく左右します。はんだが多すぎるとブリッジが発生し、反対に少なすぎると接触不良や強度不足の原因になりかねません。
また、印刷位置がずれると、部品の搭載ずれや、はんだ付け不良につながります。このような問題を避けるためには、メタルマスクの設計や印刷機のメンテナンス、そして印刷後の検査を徹底することが重要です。リフロー時のプロファイル管理も併せて行うと、より安定した品質を確保できます。
部品の保管・供給ミスに注意する
SMDは小型かつ種類が多いため、保管や供給の段階でミスが発生しやすいです。部品の取り違えや、湿気による劣化などが、主な不良の原因となります。部品は指定の温度・湿度で管理し、開封後は期限内に使用するなどの管理を徹底しましょう。
供給工程では、部品の向きや極性を間違えないように、作業手順の標準化やチェック体制の構築が重要です。部品の調達・製造・流通までの履歴を追跡できる仕組みを構築することも、品質管理の向上につながります。
静電気や部品劣化への対策が必要
SMDの中には、静電気放電により破壊されやすいものがあります。作業環境では、静電気対策を徹底して、部品劣化への対策を行いましょう。リストストラップの着用や、導電性マットの使用などが有効な対処法です。また、部品の長期保管による劣化や、リフロー時の熱ストレスによる特性変化にも注意しましょう。
まとめ
表面実装とは、プリント基板の表面に小型の電子部品を搭載する技術です。挿入実装と比べて基板の小型化・高密度化を実現しやすく、スマートフォンやパソコンなどの電子機器製造において多用されています。工程管理を怠ると不良品が発生しやすいため、はんだ量や印刷精度の管理などを徹底しましょう。