回路設計とは?種類やプロセス、発注する際のポイントなどまとめ
スマートフォンをはじめとする電子機器には電子回路が備えられています。そんな電子回路を設計するのが回路設計ですが、回路設計とは具体的にどのような仕事なのか疑問を抱いている方も多いのではないでしょうか。この記事では、回路設計の種類や基本的なプロセス、そして発注時に確認すべきポイントを解説します。

回路設計とは
回路設計とは、電子回路を設計することです。スマートフォンやパソコン、家電などの電子機器には「アナログ回路」や「デジタル回路」で作られた電子回路が搭載されています。電子回路は、現代の電子機器を安定的に動作させるために欠かせません。今後も電子回路の需要は高まると予想されており、回路設計の仕事に就くために転職を決断する方も増えています。
回路設計の種類
回路設計は、主にアナログ回路設計、デジタル回路設計、そして両者の組み合わせによって分類されます。ここでは、それぞれの回路設計の種類について解説しましょう。
アナログ回路設計
アナログ回路設計とは、連続的な信号を扱う電子回路を構築するものです。アナログ回路は、電気信号や電力の波形を自在に操るために必要な電子回路であり、抵抗やコンデンサ、オペアンプなどの要素で構成されています。電圧の変化を連続的に捉えられることが特徴で、正確かつ短時間で多くの情報を伝えられることが特徴です。
アナログ回路設計には、後述するデジタル回路設計と比較して、より多くの知識と経験が必要です。理論上は問題なく動作する電子回路だとしても、部品の配置を誤るだけで特性が変わる難しさがあり、専門性の高い職種と言えます。
デジタル回路設計
デジタル回路設計とは、0と1のデジタル信号を使って情報の演算と入出力を行う電子回路を構築するものです。AND、OR、NOTなどの論理ゲートを基盤とします。ノイズ耐性が高く、高速処理が可能なため、コンピュータや通信機器などに広く用いられています。
デジタル回路設計では、途方もない数のロジックを用いる必要があるため、専用の「EDAツール」を活用しながら設計を行うことが一般的です。そのため、先述したアナログ回路設計と比較して専門性はやや低くなりますが、高度な設計にはアナログ回路設計の知識も求められます。
アナログとデジタルの組み合わせ
アナログ回路設計とデジタル回路設計を組み合わせたものを「混合信号回路設計」と呼びます。従来は、アナログ回路とデジタル回路を個別に設計した上で統合することが一般的でした。しかし、設計の最終段階で機能や性能が不十分であることが発覚するケースも多く、これを防ぐための対策として混合信号回路設計が重要視されています。
アナログ回路とデジタル回路の組み合わせにより、それぞれの長所を活かせることが混合信号回路設計のメリットです。例えば、センサーで得られたアナログ信号をデジタル化して処理したり、デジタル信号をアナログ信号として出力したりといった手法が用いられています。
回路設計の基本的なプロセス
回路設計の基本的なプロセスは次の4つです。ここでは、それぞれのプロセスにおける詳細をご紹介します。
要件定義と仕様決定
回路設計の初期段階で重要となるのは、要件定義を明確にすることです。例えば定格電圧や電流、希望する処理速度、温度などの環境条件などを整理した上で、どのような回路方式を採用するのかを決定します。EMCや安全規格なども考慮して、実現可能性を評価し、仕様を決定します。
回路図の作成
決定した仕様に基づいて、回路図を作成します。部品の選定や接続配置を決定するのが基本的な流れです。アナログ回路設計では手計算とツールを併用し、デジタル回路設計ではHDL言語で回路図を記述します。視覚化するために、CADツールを活用して初期設計を固めることが一般的です。
シミュレーションと検証
回路図の完成後は、専用のシミュレーションソフトを活用して解析を行います。主に検証する内容は、信号波形や電力消費、タイミングです。アナログ回路設計では周波数特性を、デジタル回路設計では論理動作を確認します。検証結果により、何らかの問題が発覚した場合は設計を修正し、問題がなくなるまでシミュレーションと検証を繰り返します。この段階で、80%以上の不具合を検出可能です。
試作と評価
シミュレーションにより問題なく動作することを確認できた後は、基板を試作し、実機を用いて動作テストを行います。ノイズ測定や環境試験による情報をフィードバックし、何らかの問題が発覚した場合は再設計を行います。量産化へと移行する前に、慎重な評価を繰り返すことが、製品の安定性を向上させるための重要なポイントです。
回路設計を発注する際に確認すべきポイント
社内リソースが不足している場合や、そもそも技術者が在籍していない場合は、回路設計を外部企業に発注することをおすすめします。回路設計に必須の資格はありませんが、EMC設計技術者資格などを取得することが望ましく、自社で技術者を育成するのはハードと言わざるを得ません。また、生成AIによる回路設計にも限界があります。
高品質な製品を発注するために確認すべきポイントは次の4つです。ここでは、それぞれの詳細を解説します。
<回路設計を発注する際に確認すべきポイント>
- 発注先の実績
- 発注価格
- 納期設定
- サービス内容・アフターフォロー
発注先の実績
過去のプロジェクト実績を調べて、発注先の実績を確認しましょう。特に意識してチェックすると良いポイントは、類似機器の設計経験や成功事例です。可能であれば、ポートフォリオや参考事例の提出を求め、品質保証の体制を検証します。
発注価格
見積もりを依頼して、発注価格を明確にしましょう。設計費、試作費、ツール使用料を含めた総額を確認し、コストパフォーマンスを評価します。大量生産を視野に入れている場合は、量産化移行時に割引が適用されるかどうかを確認しましょう。また、隠れコスト(修正費)の請求を避けるため、詳細内訳を要求することもポイントです。
納期設定
プロジェクトスケジュールに合わせ、外注先と打ち合わせを行い、納期を設定します。試作や修正に想定外の時間がかかる場合があるため、余裕を持たせるためのバッファを設け、遅延リスクを低減しましょう。また、進捗報告の頻度も指定しておくと安心です。
サービス内容・アフターフォロー
設計から試作、量産支援までのサービスの内容を確認します。アフターフォローとして、修正保証や保守サポートの有無を調べましょう。また、知的財産権の扱いや機密保持契約も必須です。
まとめ
回路設計は、電子機器の性能を決めるための根幹となる技術です。回路設計の基本的なプロセスは、要件設計にはじまり、シミュレーションや試作などが慎重に行われます。回路設計を外部企業に発注する場合は、発注先の実績や発注価格、納期設定、サービス内容・アフターフォローを細かく確認しましょう。