プリント基板設計とは?基礎知識から設計フロー・注意点まで解説します
プリント基板は、電子機器の“骨格”となる部品です。作成された回路図をもとに、電子部品を基板上に配置する計画のことを「プリント基板設計」と言います。今回はプリント基板設計における重要なポイントや、基本的な設計の流れ、そしてプリント基板設計の課題をわかりやすく解説します。

プリント基板設計とは
プリント基板設計とは、作成された回路図をもとに、電子部品をプリント基板上のどこに配置するのかを決める工程です。プリント基板設計は「PCB」または「PWB」の設計・開発とも呼ばれています。
<PCB・PWBとは>
- PCB(Printed Circuit Board):部品が実装された後のプリント基板のこと
- PWB(Printed Wiring Board):部品が実装される前の基板のこと
まずはプリント基板設計の基本を解説します。
<プリント基板設計の基本>
- 回路設計と基板設計の違い
- 基板設計における重要なポイント
- 基板設計で使われるソフト・ツール
回路設計と基板設計の違い
回路設計は、部品間の電気的接続を示す図面を設計することです。一方の基板設計は、事前に作成した回路図に基づき、基板制作に必須となる基板図を設計することを表します。そのため、回路設計を経て基板設計に移るのが基本的な流れです。
基板設計における重要なポイント
基板設計において重要なポイントは次の3つです。
<基板設計における重要なポイント>
- 設計ルールと基準の遵守
- 品質の維持
- 低コスト化
それぞれをわかりやすく解説します。
設計ルールと基準の遵守
基板設計においてもっとも重要なポイントが、仕様・制約・安全基準などを定めた設計ルールを遵守することです。これらの設計ルールや基準を遵守しないと、設計不良や製造不良、性能低下、安全性の問題が生じる可能性があります。回路の正常な動作や、製品の信頼性を確保するためにも、設計ルールと基準の遵守は重要です。
品質の維持
プリント基板設計の品質は、製品の品質にも直結します。例えば設計した形状が複雑で製造しにくい場合、製造不良が発生する可能性が高まり、品質の維持が難しくなるでしょう。ショートなどの重大な不具合を防ぐためにも、高品質なプリント基板設計が必要です。
低コスト化
プリント基板の製造コストは、層の数やサイズ、加工の難易度によって変わります。例えば、穴の内壁に銅メッキを施す「スルーホール」を多用したり、小型化したりすると、製造コストが上がります。製造上の制約を遵守した上で、必要最低限の設計を行うことが、低コスト化につながるのです。
基板設計で使われるソフト・ツール
基板設計ではCAD(Computer Aided Design)ツールが使われることが一般的です。
<代表的な基板設計CADソフト>
- Altium Designer
- Cadence Allegro
- KiCad
上記のようなCADソフトウェアでは、回路図設計から基板のレイアウト設計、製造データの出力などを一貫して行えます。
プリント基板設計の流れ
プリント基板設計の流れは、以下5つのフェーズで進むことが一般的です。
<プリント基板設計の流れ>
- 仕様・要件の整理
- 回路図の作成
- 部品の選定と配置設計
- 配線パターン(アートワーク)設計
- 設計データの出力と製造準備
ここでは、それぞれの詳細をご紹介します。
仕様・要件の整理
設計をはじめる前に、製品の機能や性能、サイズ、コスト、納期といった仕様と要件を整理します。ポイントとなるのは次の3点です。
<仕様・要件を整理する際のポイント>
- 組み込む製品やシステムとの整合性を確保する
- 規格や法規制による制限を受けないか確認する
- 機能や性能などの内部要因を定量化する
これらのポイントを明確にすることにより、高品質かつ効率的な設計を行えます。
回路図の作成
回路設計者が、必要な電子部品を選定した上で、部品間の接続関係を回路図に仕上げます。この工程ではCADツールを活用することが一般的です。ここで作る回路図が、後の基板設計の基礎となります。
部品の選定と配置設計
回路図の情報をもとに、基板上に部品を配置する工程です。
電子回路において機能を果たす、抵抗やトランジスタといった器具を部品と言います。部品の種類やサイズはさまざまであり、回路図と合致する部品を選定することが重要です。部品の配置にもCADツールを活用することが一般的であり、配線や実装に関するルールにしたがって、ドラッグ&ドロップで作業を進めます。
配線パターン(アートワーク)設計
配線パターンとは、プリント基板上に導体を使って形成する配線の経路です。「アートワーク設計」と呼ばれることもあります。配線パターン設計も、製品の不具合を防ぐために重要な工程です。例えば、抵抗やトランジスタは発熱するため、その他の部品に影響を与えない場所に配置しなければなりません。
設計データの出力と製造準備
設計データ(アートワークデータ)を出力し、製造に向けた準備を進めます。設計データとは、プリント基板の製造に必要な情報がインプットされたファイルです。CADツールを使ってデータを出力し、プリント基板の製造に進むのが、一般的な流れです。
プリント基板設計の課題
プリント基板設計には、次のような課題があります。
<プリント基板設計の課題>
- コストと品質のバランスの模索
- 複雑化する設計への対応
- 技術者に求められるスキルの広範囲化
それぞれのポイントを解説します。
コストと品質のバランスの模索
低コスト化は重要なテーマですが、安さありきで設計を行うと品質に悪影響を及ぼしかねません。高速化・高密度化が進む現在の電子機器は、ノイズや熱などの問題に対応するために多層基板などの高コストな材料を用いる必要性が高まっており、コストが増加しがちです。高い品質を維持しつつ、製造コストを最適化させるバランスを模索することが課題と言えます。
複雑化する設計への対応
電子回路の微細化や高密度化に伴い、設計は複雑化しています。限られたスペースに多くの部品を搭載するためには、層構成を最適化させたり、加工技術を高めたりしなければなりません。複雑化する設計に対応するためには、より高性能なCADなどのツールが必要です。
技術者に求められるスキルの広範囲化
従来の基板設計とは異なり、現在は電気工学への知識やシミュレーション能力など、技術者に求められるスキルが増えています。スペシャリスト以外の技術者でもプリント基板設計ができるように、シンプルなツール・ソフトの登場が期待されています。
まとめ
プリント基板設計とは、作成された回路図をもとに電子部品を配置する設計のことです。近年の技術革新により求人ニーズが高まり、学習に向けた入門的な本も多数販売されています。コストと品質のバランスの模索や、複雑化する設計への対応などが、プリント基板設計における課題です。