2026/07/31 未分類

基板製造の方法とは?プリント基板ができるまでの流れと注意点を解説

プリント基板(PCB)は、現代の電子機器に欠かせない部品です。そのプリント基板を完成させるまでの一連の工程が、設計された回路パターンを基材上に形成する「基板製造」です。この記事では、基板製造とは何か解説したうえで、基板製造方法の主な種類や流れ、重要な注意点などをご紹介します。

1.基板製造とは

基板製造とは、電子回路の基盤となるプリント基板を作成するプロセスです。絶縁体である基材の上に銅箔などの導体パターンを形成し、電子部品を搭載するための土台を整えます。まずはプリント基板の役割と、基板実装との違いを整理しましょう。

プリント基板の設計から材料、回路形成、積層、穴あけ・メッキ、表面処理、検査までの製造工程

・プリント基板の役割

プリント基板は、主に次の役割を持ちます。

<プリント基板の役割>

  • 電子部品の固定と配置
  • 電気的な接続
  • ショートの防止

抵抗器やコンデンサ、ICなどの部品を正確な位置に固定して、電気的な接続により、信号や電力の伝送を可能にします。また、絶縁性を確保して、ショートを防ぐこともプリント基板の重要な役割です。これにより、複雑な回路をコンパクトにまとめて、電子機器の安定した動作を実現します。

・基板製造と基板実装の違い

基板製造は、銅張積層板などの材料から配線パターンを形成し、プリント基板を製作する工程です。一方の基板実装は、完成したプリント基板に電子部品をはんだ付けして、機能する回路を完成させる工程を指します。製造は回路形成が中心、実装は部品搭載やはんだ付け、検査が中心となり、それぞれ別の工場で作業が行われることが一般的です。

2.基板製造方法の主な種類

基板製造方法は、主に回路パターンの形成方法によって、大きく2つに分類されます。ここでは、代表的な2つの方法である「サブトラクティブ法」と「アディティブ法」の概要と、製造方法を選ぶ際の考え方を解説します。

・サブトラクティブ法

サブトラクティブ法(エッチング法)とは、プリント基板に施された銅箔の不要部分を薬液で溶解除去して、回路パターンを形成する方法です。回路パターンをマスクで覆い、不要になった部分をエッチングで溶かしてプリント基板を製造するため、エッチング法と呼ばれることもあります。なお、語源は英語の「減算(Subtractive)」です。

・アディティブ法

アディティブ法は、絶縁体基板に対して直接めっき処理を施し、回路パターンを形成する方法です。回路パターンを後から付け足す工法のため、加算法と呼ばれることもあります。「セミアディティブ法(SAP)」などの派生技術も発展しており、CADによる設計の再現度をさらに高めることも可能です。

・製造方法を選ぶ際の考え方

製造方法を選ぶ際は、基板の層数、配線幅、穴径、使用環境、コスト、納期などの要素から総合的に検討します。一般的な多層基板ではサブトラクティブ法が広く採用されており、より微細な配線が必要な場合にはアディティブ法やセミアディティブ法が用いられます。仕様に合った製造方法を選ぶことにより、コストを抑えながら高品質な製品に仕上げられます。

3.基板製造の基本的な流れ

基板製造は複数の工程を経て行われます。ここでは、サブトラクティブ法を基にした基本的な基板製造の流れを、簡潔に見てみましょう。

・設計データの確認・CAM編集

まずは提供されたCADデータを確認し、製造用に変換・編集します。パターン補正や検査データ作成を行い、製造工程に適合させます。これは、初期段階のミスを防ぐための重要な工程です。

・材料準備と積層

基材を切断し、内層回路を形成した後に、プリプレグなどで多層を積層・プレスします。密着性を高めるために、黒化処理を並行して行うことが一般的です。

・穴あけ・銅めっき

NCドリルなどを使って、スルーホールやビアホールなどの穴あけを行います。デスミア処理後には、無電解・電解銅めっきにより、電気的接続を確保します。

・露光・現像・エッチング

ドライフィルムを貼り、露光・現像でパターンを焼き付け、不要な銅をエッチングで除去する工程です。これは、回路形成における核心的な工程といえます。

・ソルダーレジスト・シルク印刷

回路を保護するためのソルダーレジストを塗布し、硬化させる工程です。部品位置などのマーキングをシルク印刷によって施します。

・表面処理・外形加工

酸化防止のための表面処理として、はんだレベラーや金めっきなどを施します。ルーターなどで外形加工を行い、基板製造は完了です。

4.基板製造で重要な検査と注意点

基板製造では、工程ごとに細かく品質管理を行うことが重要です。信頼性の高い製品を完成させるためのポイントとして、重要な検査の内容と注意点を4つご紹介します。

注意点1|導通検査・外観検査で品質を確認する

導通検査(電気テスト)を行い、断線やショートなどの不具合が生じていないか確認しましょう。外観検査では、AOIや目視により、キズや汚れ、パターン不良の有無を確認します。これらの作業を丁寧に行うことにより、早期段階でエラーを発見できるため、素早く効率的な修正が可能です。

注意点2|設計データや回路図のミスを事前に確認する

基板製造において、設計データや回路図に生じたミスの事前確認は必須です。製造前にミスを把握できた場合、データ修正と再出力のみで対応できます。しかし、製造後にミスが発覚すると、基板を廃棄したうえで再設計・再製造しなければなりません。

基板製造は「作ってみてから直す」のではなく、「作る前に徹底的にチェックする」ことが大切です。ERCやDRCによって、製造工程では発見しにくい接続ミスや不整合などを発見することにより、修正コストを大幅に抑えられます。

注意点3|製造公差や加工条件を考慮する

穴径や配線幅の公差、材料の反り、環境条件を考慮した設計と製造が必要です。メーカーとの仕様調整を怠らないように注意しましょう。

公差を無視して設計すると、製造時にショートや断線、位置ずれなどが発生しやすく、不良品率が上がります。結果として追加費用が発生したり、再製造が必要になったりする可能性が高まるでしょう。これにより納期遅延が発生すると、クライアントからの信頼を損ないかねません。

注意点4|用途に合った基板仕様を選定する

温度・湿度・振動などの使用環境や電気的要件に合わせて、適切な材質・層数・表面処理の内容を選定しましょう。過剰仕様はコスト増につながり、反対に仕様が不足すると故障率上昇などにより信頼性の低下を招きます。

「動く回路を設計する」だけでなく、「特定の用途で長期間安定して動く基板にする」ことが重要です。基材や層数と積層構成、銅箔厚、穴径、表面処理、板厚などの仕様項目は、設計時に細かく確認しましょう。

まとめ

サブトラクティブ法などによって行われる基板製造は、電子機器の基盤となるプリント基板を完成させるための重要なプロセスです。製造方法の選択や工程の理解、そして徹底した検査がプリント基板の品質を大きく左右します。仕様に合った最適な基板を制作することが、基板製造を成功に導くポイントです。